「コンペの依頼をされたが、そもそもコンペの体をなしていない」
この類の依頼の話をよく耳にします。
問題の根源はコンペを開催するための条件がきちんと整備されていないことに尽きます。例えば奥さん(旦那さん)に「今日何が食べたい?」と聞かれて「カレー」と伝えて、楽しみに自宅に帰ると、そこには「スパイスの調合から作った本格的なインドカレー」がだされていて、、(いや、俺は普通の日本的なまったりしたルーのカレーが食べたかったんだよ)とは言えず、、というような感じです。
・・・分かりにくいですね(笑)
つまり、もっと具体的に設計条件をオーダーしなければならない、ということです。
美容室なのであれば、カット席はいくつ必要で、シャンプー台はどこどこのメーカーのものを何台おいて、水圧は強めが良いな、、などなど。
コンペにもレシピが必要
カレーの例え話に戻りますが、あなたが自分の食べたいカレーを数人にオーダーして、まもなく目の前に運ばれてきました。一皿目はインド風の本格的なカレー、二皿目は日本風のビーフカレー、三皿目はイカスミ入りのルーが香るシーフードカレー。どれも大変美味しかったとしましょう。
どれか一皿選べと言われたらどうでしょうか?その時の気分で一番美味しかったものを選ぶことはできるでしょう。でも少し考えて欲しいのです。これはコンペになっているのでしょうか?あなたがビーフカレーを選んだとして、選ばれなかった二皿はそもそも「違う種類のカレー」を作っています。もしこの二人が「ビーフカレー」を作っていたとしたらどうでしょう。もっと美味しいビーフカレーが出てきて、そちらを選ぶことになるかもしれません。つまり、できる限り条件を狭めてオーダーして欲しいのです。そうすることで、料理をする方はより工夫を凝らして最高の一皿を出そうと頑張りますし、なによりあなたが意図したものが提案される確率がぐんと高まるのです。
コンペ開催を思い立ったら筆をとろう
余談ですが、友人のデザイナーと今依頼されている案件の話をしていて、偶然同じクライアントのコンペに参加していることを知った、というような話がありました。(業界は狭いのでよくある話なのです)
この時の話がまさに先ほどの例と同じで、私と友人とでは聞いている条件などが微妙に違っていました。それを聞いて急にやる気がなくなったのは言うまでもありません。最初から的外れなものを提案してしまって、時間を無駄にしてしまう可能性があったからです。
コンペのオリエンテーションの時、クライアントが用意していたものは特になく、1時間ぐらいの質疑応答で色々と意見を交わしてオーダーを頂いていました。せめてこの時に条件などが記された書面をいただけていればと悔やまれます。
以上のことから分かるように、コンペを開催する時には、条件をできる限り洗い出しリスト化、書面にして参加者に渡しておくようにすれば良いと思います。また、どんなことがあってもブレないお店づくりのコンセプトがあれば、内装はもとより長く愛される繁盛店になることと思います。