同敷地内での増築プロジェクトである。
1期では築80年の木造建築をリノベーションしたが、今回はRC+木造の新築である。
東山の中心地にあっては珍しい、庭園というよりは森のような庭の印象を残すことを主題とした。そのため、建物は大きな木々を避け、取り込みながら、敷地形状に添わせた結果の余白と必要機能とが重なるように計画し、結果的に2つの相似形の建物が庭に対して鈍角で向き合う形状となった。
また、敷地の高低差が最大7mということもあり、1期で改装した母屋からの抜けた視界を遮らず、かつ増築棟にも独自の視界を確保するために、傾斜に合わせて沈み込ませた。
バンケットという機能はほとんどの場合無柱であることが求められる。
のっぺりとした画一的な空間になるため、
平屋であることの利点を生かし、木造架構の連続性を意匠に取り込み、かつ天井高さを確保するための、屋根架構に沿った勾配天井とした。
大空間を支えるための「方杖」材に正対した時に、鳥が羽を広げているような印象を与えられるように寸法や支点の位置を制御した。
母屋や蔵の古くノスタルジックな雰囲気とコントラストをなすのではなく、添わせる方針をとり、壁や屋根の素材を選定した。